基本構想
S−71系統
法規変更により 125cc 以下は原動機付き自転車として許可制となった。これにより、始めて
2サイクル 125cc エンジンを採用し、これに2段ミッションを装着した軽量、廉価な実用車。
S−82系統
S−71系統の特長を生かし性能を大幅に向上し、スタイル、機能等を向上させた軽量、廉価な
実用車。
S−85G
S85Gは、エンジンを 150cc にボアアップし、ハンドルクラッチ、3GM(3段ミッション)を
装着した輸出専用車。
主な特徴
S−71系統
1. 初の2サイクル 125cc エンジン採用
スクーターで初めて2サイクルピストンバルブ式コンパクトエンジンを採用した。
これにより性能が大幅に向上し保守が容易になった。
2. 2段ミッションと重錘型自動遠心クラッチの採用
グリップ切換による2段ミッションを初めて装備した。また、重錘型自動遠心クラッチを
採用した。これによって、自動クラッチにて可断式となり、歯車の変速切換が容易になった。
3. チューブレスタイヤの採用
チューブレスタイヤの採用により走行中のパンクの心配が無くなった(S-71-U型より採用)
4. ピボット式防振装置の採用
エンジンバランスファクターを考慮したピボット式防振装置を採用し振動が大幅に改善された。
(S-72型で採用)
S−82系統
1. 性能向上
ポートの形状とタイミングを改善して大幅に馬力アップした。
2. テンションラバー、オイルダンパーの採用
前輪、後輪のダンパーを変更し、乗り心地の改善を図った。
3. スターターダイナモの採用
始動可能なスターターダイナモを採用した(S-82Sより)
試作経過の概要
S−71系統
昭和29年10月〜
第2種原動機付き自転車は法規的に2サイクル 60cc の制限が撤廃され、4サイクルと共に
125cc までが原動機付き自転車となり、無試験の届出制となった。
これに即応すべく安価にして、一般実用に供し得る車として 125cc、10万円、100Kg 以下を
目標としてSK−10が計画された。
SK-10A型:スタンダード型、95Kg、強制空冷 2Cyc 125cc 原価5.95万円
SK-10B型:ストリップ型、 85Kg、強制空冷 2Cyc 125cc 原価5.25万円
の2案が考えられたが構造簡素化のためにキールパイプ式の採用、フロントボトムリンク機構、
エンジン側は2サイクルエンジンで性能を向上し、2GMと重錘式自動遠心クラッチにより
操作の容易化等が検討された。
上記A型及びB型は最終的にデザイン等から SK-10A 型に決まった。
昭和29年12月〜
生産車としては S−70型として以下の仕様で計画された。
1. 車種は、第2種原動機付自転車とする。
2. 工場原価は 5.5万〜6.0万円とする。
3. 実用性を主眼に置き必要以上の装備、アクセサリーは付けない。
4. 小型、軽量車とする、特に重量は極力軽減する。
5. 乗りやすく、乗り心地良好なこと。
6. 整備取り扱いが簡単なこと。
7. ボディスタイルは新しい感じとする。
8. 性能はS−48程度とする。
目標性能として、エンジン出力:5HP/5000rpm 最大速度 70Km/H。
昭和30年2月〜
S−70型の試作車4台が2月に完成。
総合的な検討が行われたがこの中で、主として問題となった項目は、
1. ブリッジ・ブリスターの問題(プラグのブリッジ)
20Km〜30Km 走行毎に発生し、特に雨天、或いはプラグが焼けると発生しやすく、燃焼室の
汚れが最大の原因であって、クリーナーエレメント、点火栓、点火位置等が検討されたが、
最終的に、燃料の混合油を普通オイルからペンタルーブオイルに変更することで解決した。
2. 乗り心地不良
前輪ボトムリンク式コイルバネ、後輪スイングアーム式樽型バネで試作されたがフロントが
硬過ぎる、及び前後緩衝のバランスが悪かった。このため、ばね定数の再検討によりある程度
改善された。
3. 振動不良
常用車速でハンドルから風防下方にかけて振動が大きかった。
このためにエンジン防振ゴムのばね定数を種々検討することによりある程度改善された。
4. クラッチの焼け
重錘型自動遠心クラッチのレリーズロッドのやけが発生、ロッドの両端接触面にボールを
入れることにより解決した。
S−82系統
昭和32年9月〜
TK−11型エンジンについて、シリンダーポート形状、タイミング、ヘッド形状、キャブ、
マフラー等一連の性能向上検討の結果、著しい性能の向上が得られた。
一方、緩衝性能の向上のため、テンションラバー方式の検討が進められ、リヤダンパーの検討と
併せて向上の見通しが得られた。
昭和32年12月〜
S−72改として、計画性能 6.2HP のTK−11型エンジン(G型シリンダーに変更)を搭載。
テンションラバー、リアダンパー、プレスハンドル、フルチェーンケースの採用、及び消音器の
変更を行う計画が立てられた。
昭和33年1月〜
S−72改の試作車が4台完成。
テストにおいて特に問題となったものは。
1.ハンドルフォークの折損
耐久走行 1500Km 出ハンドルフォークが折損した。このため,フォークパイプの肉厚アップ、
ハンドルフォーク肩金具の板金を鍛造にして強度を30%アップし対策した。
2.テンションラバーの切損、及び、過度のへたり。
耐久走行におけるテンションラバー内面のむしれ、或いは切損が発生、このためラバーの幅を
増大しばね定数を変更しゴムブッシュを内面に使用して対策し、乗り心地も向上した。
昭和33年9月〜
市場における人気の増大と共に、アメリカへの輸出車両が必要となった。S−82S型を
ベースに次の2車種が開発、販売された。
S-401A 型:エンジンを 148cc 7.1HP とし、2GM を装備。
S-85G 型:S-401 型のミッションを3段常時噛合式(3GM)とした。
(米国チャールスモータースへの輸出車)