ラビット開発の物語

S-211A 型・・・・昭和40年代初期

  基本構想                                                         
                                                                   
    スクーターの基本的長所を生かした90cc純スクータータイプの車であり、中間車種クラスの
    上級車として開発、製作された。       
                                                                   
  主な特徴                                                         
                                                                   
    1.DRVの新型エンジンの採用                                 
        トルクの高いDRV(デイスクロータリーバルブ)エンジンの採用により加速性能の良好な車となった。                               
    2.大きなトランク室の採用                                     
        独特な車体構造にしたため、従来にない大きなトランク室を作ることができた。                                         
    3.メンテナンスフリー・システムの採用                         
        LONG LIFE GREASE 及びラバーブッシュの採用によりメンテナンスフリーが実現できた。                           
    4.リンク式防振装置の採用                                     
        リンク式防振装置とバランスファクターの選択が自由なDRVエンジンの採用により、従来に
        例を見ない低振動車となった。
    5.後車軸直結のミッションの採用                               
        後車軸直結のミッションを持ったユニットスイング方式にしたためエンジンがコンパクトに
        まとまった。                     
                                                                   
  試作経過の概要                                                   
                                                                   
    昭和37年7月〜11月                                         
      初期には、S-102型(50cc自然空冷)→ 36S改(60cc強制空冷)→ 37E(70-90cc強制空冷)
      → 37F と S-202型 → 37C → 37F と言う2系列があり、純スクータータイプとオートスクーター     
      タイプの両者を考えていたが 37E は振動、騒音に問題があり 37E をベースとしては解決でき
   なかった。また、37C は図面検討で終わった。これらを参考にして車体、発動機共新製にした中間
   車種の純スクータータイプの車として計画したのが 37F(75-90cc 強制空冷、ユニットスイング)
   である。            
                                                                   
    昭和38年3月〜                                               
      デザインを純スクータータイプとし、発動機は90cc、強制空冷、ユニットスイング、自動遠心
   クラッチ、セルダイ装備で製作が決定された。

   昭和39年4月〜
     試作車6台が完成(他にプレスフレーム仕様3台)
     ACG車(ES32AX)4台、セルダイ車(ES32BX)2台をそれぞれ製作したが、重量、価格から
   セルダイ車一本ににしぼった。

     主な問題点
       1. キールパイプ吸入方式
          雨水浸入等の問題からサイドカバー吸入方式に変更した。
       2. 乗り心地
          前輪系に天然ゴムのコンプレッションラバーを使用したがハンドルにくるショックが強く不評で
     あったため、フレームの剛性アップとしてキールパイプを 59.9 X 2.3t → 60.2 X 2.8t に変更、
     バネ定数の変更、リンク長の変更(110mm→130mm)を行い改善を図った。
       3. 強度、剛性
          ハンドルフォーク:耐久走行中 1600Km で肩部パイプの溶接部で折損、パイプサイズを
        31.8 X 1.6t → 30.0 X 2.6t に変更した。
          センターカバー :従来のカバーと異なり後輪緩衝器反力を支える構造
               のためカバーの緩衝器取り付け部材に亀裂の発生および変形があったが部材の補強、
        取り付けボルトを2本から3本にした。

   昭和40年3月〜
     二次試作として6台完成。エンジンはダイキャスト型になった。

     主な問題点
       1. フェンダー幅
               膝まわりに風、雨が回り込む苦情に対し、風洞実験を行い、フェンダー幅 360mm を、あと
               15-20mm 広げれば実用上満足できると判断され、三次試作時より織り込むこととした。
       2. 乗り心地                                                       
               コンプレッシヨンラバーの形状変更と天然ゴムに変わるIIR(ブチルゴム)への材質変更
        をもって生産仕様とした。しかし、これでも他機種と比較すると若干乗り心地は悪かった。
       3. 強度、剛性、寿命
               1) リアーホイール・・耐久走行中、後車軸部折曲げ座金折損のためホイールが脱落する
                  事故が2回あった。このため、安全確保から割りピン方式に切り変えた。
               2) フロントリンクブッシュ・・ブッシュ材質をポリアセタール樹脂で検討したが
         クリアランスの関係でハンドルシミーが起き結局、含油合金とし、それに
                  LONG LIFE GREASE モラブMA#2 を使用、これにより実走1万Kmの無給油化に成功した。

       4. 積載時の操作安定性
               後部積載時(約15Kg)に砂利、悪路において繰安性に問題があり、前輪をアライメントし、
               トレール 80mm を 85mm に変更した。
       5. ギアー騒音
               ピニオン歯元の摩耗により、車速 40Km 付近で異音が出た。
               対策として、ギアー歯型を転移させ、また、クラウニングにより、歯面の片当りを防止した。
       6. エンジンの出力低下
               クランクケースにウエブをつけ、剛性を増し、それと同時にシリンダーポートの中子の
               形状、ベアリングプレートの形状変更を行い解決した。

   昭和41年3月〜
        41年3月 第三次試作として、7台製作。(37F3,ES32X-3)
        41年4月 コマーシャルカーとして8台完成。(S211A,ES32A)
 
   主な問題点
      1. フロントリンクブッシュ
              二次試作に引続き更に LONG LIFE 化の検討を行い、最終的にはブッシュ材質、含油合金、
              LONG LIFE GREASE モリコートGX の組合せにより実走1万キロの無給油化に成功した。
       2. 乗車姿勢
             他機種に比較して疲れると言う声があり、これが前傾姿勢によるもので、車体番号 #7891
       以降はハンドルを 20mm 高くした。
       3. 前輪ブレーキの鳴き
             振動数の低いガーと言う音が発生、ライニング、ディスクプレート等の材質を検討し、
             亜鉛(Zn)の ディスクプレート が効果の有ることが判ったが、耐蝕、変色の面で問題が
             残り実施されなかった。
       4. シートロック
             シートとストッパーに隙間があり、そこより(ー)ドライバー等で開けることができたので
       隙間をなくした。

  
元に戻る