基本構想
S−61型の次期車として、エンジンをボアアップして性能向上し、車体は、外観、デザインを全面的
に変更した新設計とすると共に振動、騒音、乗り心地の改善を図って実用性に富む車とする。
主な特徴
1.外観・デザインの一新
フロント・フェンダーは全面覆と一体化されて固定式となり、外観は全体的にデラックスとなった。
2.性能向上
246cc 7.0HP のエンジンを搭載し性能向上した。
3.前後輪にオイルダンパーの採用
ラビットで初めて前後輪にオイルダンパーを採用した。このため乗り心地は一段と良くなった。
4.スターターダイナモの装備(S-101D-2S,S101S)
ラビットで初めてスターターダイナモを装備したため、始動が容易になり手軽に乗れる様になった。
5.トルクコンバーターの装備(S-101D,S-101D-2S,S-101S)
S−61D型のトルコンを改良し登坂、加速性能が向上した。
6.足踏み式ディマースイッチの採用
ラビットで初めて足動デイマースイッチを採用し、スイッチの切換操作が容易で確実になった。
7.パーキングブレーキの採用
前輪にパーキングブレーキをラビットで初めて採用。
このため、坂道等の駐車に便利にばかりでなく、安全性が向上した。
試作経過の概要
昭和30年3月〜
S−61型の次期車として、S−62計画、S−80計画の二つがあった。
1. S−62計画(S30.3 〜 S30.9)
S−61型のタイヤサイズを400−10に変更したものを検討したが、推算で重量が約10Kg、
原価が約4000円高くなることが予想されたので、試作図のみで打ち切られた。
2. S−80計画(S30.10 〜 S31.1)
S−61型のエンジンを175−200cc、2サイクル、又は、225cc OHV とする
計画があったが、諸般の情勢からこの実現が困難となり、性能、構造、外観検討だけで終わった。
昭和31年1月〜
S−61,S−80型の検討過程でS−61型の次期車としては、エンジンは新型式でなく、
FE−51型をボアアップしたもの(FEー60型)にせざるを得なくなった。又、車体は当初、
S−61型の外観的な変更のみで内部構成部品は、極力S−61型のものを使用する方針であった。
しかし、たまたま、三菱のシルバーピジョン C−90型の出現により車体側も大幅な変更を余儀
なくされた。これが、31B(S−61X型とも言われた)である。
又、シャフトドライブの計画もあったがコストの点で中止された。
昭和31年5月〜
31B型は、全部で4台が試作された。
昭和31年10月 2台 (自動遠心付 1台、トルコン付 1台)
昭和31年11月 2台 (自動遠心付 1台、トルコン付 1台)
外観、スタイルは一新されたが次の問題点があった。
1. 重量・・初期目標値140Kgに対して、31年10月完成の自動遠心付は,155.5Kg、
トルコン付は158.1Kgであった。このため、31年11月完成の2台は、徹底的な
重量軽減を実施し、自動遠心付で 150Kg、トルコン付で152Kgになった。
しかし、初期目標値からは約10Kg増となった。
2. 振動・・ハンドルは良好なるも、リアステップに振動があった。
リアステップはステップステーの剛性を増したが、これらの対策でも充分とは言えなかった。
3. 乗り心地・・シルバーピジョン C−90型は、前輪系にオイルダンパーを付けて登場し、
可成り乗り心地が良かった。
31Bは、これを上回ることを要求されたので前後輪にオイルダンパーを付けた。
最初ばね特性が悪く乗り心地が余りよく無かったので数回にわたり、ばね特性、ストロークを
変更した。又、リアーバンパーは、容量不足で耐久性がなく内径25Φ 〜30Φにして
対策した。
4. 繰安性・・ラビットで初めて固定フェンダーを採用したので、乗りづらいのでは無いかと問題視
されたが結果的には、S−61型と何等代わり無いと結論された。
5. 対候性・・前輪が巻き起こしたほこり、泥水がエアークリーナー下部、エンジン前方下部に
多く付着するのでフォークに泥除けを付けた。
又、ファンカバーの冷却空気取入れ口にゴムダクトをつけてカバー内の防塵を行った。
ディマースイッチに泥水が浸入して作動不良を起こしたが泥水の浸入する穴を塞いで対策した。
31Bの生産型式は、一時 S−81型と決定され、生産図もこの型式で出図されたが、
昭和32年3月にS−101型と改称された。